プロジェクト概要

本課題では水環境に着目し、気候目標とSDGsを同時に達成する際に生じうるシナジーとトレードオフについて定量的に整理し、水に関係するSDGsと気候目標の同時達成の可能性を地域ごとに評価します。

具体的には、水環境に関連する1)水災害、2)水熱質循環、3)水資源、4)食糧生産、の4つのサブテーマごとに、グローバルなシミュレーションを複数の気候シナリオと社会経済シナリオで実施します。

それぞれのサブテーマでは、社会経済シナリオごとに水の利用効率や水力発電部門の技術改善の効果、増加する食糧需要を満たすために必要な投入シナリオ(肥料や農薬など)、バイオ燃料や森林保全の拡大による土地と水の制限について、他サブテーマと連携して共通のデータを整備して進めます。

たとえばサブテーマ4では、高温ストレスなど気候変動による収量変化に加えて、水資源や土地による制約と洪水による穀物収量の減少も考慮します。水熱質循環(サブテーマ 2)と水資源(サブテーマ 3)のシミュレーションからは、質と量の双方から安全な水の供給(SDG6)が評価されます。また、エネルギー (SDG7)に関しては、水資源の観点から水力発電とバイオ燃料のポテンシャルを評価すると共に、サブテーマ2において水温の変化が火力発電所や原子力発電所の冷却水に与えるリスクについても評価します。

これらはいずれも、河川流域単位や農地単位で詳細なモデルの予測を行わなければ評価が行えないものです。最終的には、地域ごとの分析結果から、気候目標とSDGsの同時達成が難しい課題および地域を特定・抽出し、その解決策の検討を行います。